公開セミナー「成熟市場を変えるイノベーションを明らかにするライブケース 旭酒造の「獺祭」」で旭酒造社長から直接お話を聞いてきました。
私も大好きな「獺祭」ですが、これほど大ヒットすることになった舞台裏については全く知りませんでした。
県内でも無名に近かった山奥の酒蔵に対して、最初は県がお酒の原料となる米を売ってくれなかったんだそうです。酒造業界に詳しくない私にとっては信じられない話です。
そんな状況から何度も逆境を乗り超え、日本市場のみならず世界の舞台で戦うところまで規模を拡大。今や全国で生産される山田錦のなんと1/10(びっくり)が獺祭で使用されているのだそうです。
それでもまだ足りないということで、原料となる山田錦の生産量拡大にまで取り組んでいるのが本当にすごい。
「獺祭」の増産を富士通が支援しているのは知っていたのですが、その背景などがよくわかりました。
銘酒「獺祭」とICTのコラボレーション!栽培が難しい原料米・山田錦の安定生産を支援 : FUJITSU JOURNAL(富士通ジャーナル)
日本酒は日本の文化と歴史によって洗練されてきたものだけど、伝統の「手法」というものはないのだと旭酒造の社長は言い切ります。
それは、杜氏という職能制度の中で、杜氏の工夫と改善によって生み出されてきたもので、「工夫と改善」こそが本来の「伝統」であると。
杜氏の高齢化によってそういったチャレンジをしなくなった現状を捉えて「伝統の手法」だと言われるのは間違いだそうです。
旭酒造では、機械や杜氏に頼らず、社員が一年中、手作りで酒がつくれる仕組みを作ってきたんだそうです。手間暇かかっているから美味しいんですね。
そんなイノベーションのお話を聞いた後に、獺祭グラスでいただいた「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」は格別でした。
「獺祭」というネーミングは社長がつけたそうですが、もうセンス抜群ですよね。「獺」の文字は旭酒造のある地名「獺越(おそごえ)」からとったそうです。